ああともについて

文化的処方で社会課題を解決する

動物のイラスト

私たち『ああとも』の目的は、超高齢社会における「望まない孤独や社会的孤立」の状態を解消することです。望まない孤独・社会的孤立の状態は、その人がその人らしくクリエイティブにいられない状態です。この状態を緩和し、さらに解消するきっかけをアートや文化が作れるのではないかと考えています。

私たちはそのようなアートとケアの活動を「文化的処方」と呼んでいます。文化的処方、少々聞き慣れない言葉だと思います。「処方」という単語は普通は医療分野で「薬を処方する」などのように使用されますが、「文化的処方」とは「望まない孤独や社会的孤立」に対して、アートや文化をベースとした非医療的な健康に寄与する活動です。医療や福祉分野と連携し、テクノロジーを活用していくことで、人々がアートや文化活動にアクセスできるようにし、人と人、人と社会がつながる回路を増やしていきます。

『ああとも』の活動はイギリスの「社会的処方/Social Prescribing」や「文化の処方/Cultural Social Prescribing」を参照しながらも、日本の高度な医療や福祉のシステムとつながり、美術館などの文化機関、医療福祉関係機関、自治体、民間企業といった幅広い機関と連携しながら、ミュージアムのコレクションや地域の文化資源が持つ力を、市民が主体的に社会へとアクセスするための回路を増やすために活用していきます。文化的処方は、薬の処方箋と違って「この症状にはこのアートが効く」というものではありません。アートや文化を介して人々が語り合い、協力し合い、社会全体で状況を変えていくことを目指すものです。

ミュージアムの新しい役割とは

動物のイラスト

今、アートとケアの分野に関心がある人はあまり多くはないかもしれません。しかし、「誰かをケアしたい」と感じたり、実際に何らかのケアに関わることが必要な人の分母はとても大きいのではないでしょうか。私たちは、人生の中でいつかこのケアの課題と直面します。生きていく上で望まない孤独、社会的孤立、老い、病気、介護、障害などたくさんの壁があるかもしれません。また、すでに日々の生活の中で「生きづらさ」を感じている人もいるでしょう。『ああとも』は、状況を変えていきたいと思っている人たちに、その解決方法の1つに文化的処方という方法があることを伝え、共に活動したいのです。そこで大切な役割を果たすのが美術館や博物館、つまりミュージアムという場所です。

かつては「宝物を見せてあげる場所」だったミュージアムのシステムは、社会の変化の中で変わってきています。特に2000年以降、さらにコロナ禍を経た今ではミュージアムの存在は人々が対話をし、新しい社会課題を発見し、文化を共有しながら仲間と対話をしていく、ソーシャルチェンジの場としての機能が期待されるようになっています。もう、ミュージアムは宝物を見るだけの場所ではないのです。

ミュージアム同様、アート作品の価値や社会的役割も変わってきています。作品は専門家だけが価値を付けるのではなく、その作品と共に生きる同時代の人たちによって価値付けられています。見る人なくして、作品は成立しません。アートはみなさんひとり1人の「参加」や「対話」があってこそ、社会の中で生き続けることができるのです。そのアートや文化への関わりはアートの持つ普遍的な価値を受け取りシェアするきっかけとなり、同時に社会に参加することにつながります。

ウェルビーイングな社会を実現する

動物のイラスト

皆さんはミュージアムで、たくさんの作品に触れた経験があるでしょうか。ミュージアムにあるものは、私たち人間にとって普遍的価値があるという理由で保存しています。『ああとも』は、それらの作品を現在の時代に生きている人たちと、もう一度「文化的処方」という観点と共にシェアしようと考えています。その行為によって、私たちが今を生きることの、存在感や普遍的な価値を、認識し直すことができるのではないか。私たちはミュージアムや所蔵されている作品・物には人間を肯定的に捉える大きな力があると思っています。「文化的処方」は、心身ともに満たされた状態であるウェルビーイングな社会を作っていく力があると信じています。

いま、ああともが考えていること

対話を重ねてアートを鑑賞する

さまざまな作品や文化リソースを「対話」しながら楽しむ場を作ります。正解のない問いを持った作品などが媒介となって新たなコミュニケーションの場となり、人と人の繋がりが生まれます。

動物のイラスト

移動式ミュージアム

ミュージアムが近くにない……。体や心の調子が良くない……。ミュージアムに行きたくても行けない理由は様々です。でもそんな時に、ミュージアムの方があなたのそばにやってきてくれたらいいかも?未来の移動式ミュージアムの形を模索していきます。

動物のイラスト

ミュージアムツールの開発

現代の様々なテクノロジーは、ミュージアムのコレクションや文化資源との新たな関わり方や楽しみ方をもたらしてくれるかもしれません。ツールを通して、地域の繋がりやコミュニティも。

文化リンクワーカーの学びの場づくり

アートや文化をベースにした活動を通して、人と人、人と社会をつなげる「文化リンクワーカー」。「文化的処方」の広がりを支える重要な存在です。この「文化リンクワーカー」の学びの場作りにも取り組みます。