アートと社会とウェルビーイングを訪ねるウェブマガジン

文化的処方のKEYWORD
#01 文化的処方と社会的処方

| [文]ああともTODAY編集部  

『ああともTODAY』では、「文化的処方」という考え方を、より多くの人に届けたいと願っています。そこで『KEYWORD』という連載をもうけ、記事の中で使われる用語について、やさしく丁寧に紐解いていきます。背景を交えて、言葉が持つ意味を感じ取りながら「文化的処方」に自然と親しめる入口にできればと思っています。


文化的処方とは、文化活動を「健康に欠かせない要素」ととらえ、孤独や孤立を遠ざけ、健やかな生活を支える考え方であり、実践の仕組みです。健康には身体・精神・社会の三つの側面がありますが、特に精神的健康と社会的健康に効果をもたらすのが文化的処方です。

アートや文化活動など表現に触れることは気持ちをリラックスさせ、人とのつながりを生むことが研究でも示されています。薬で病気を治すのではなく、誰もが持つワクワクする気持ちや、日常から離れて自分の感覚に集中する心の作用などが心身の「処方」となるのです。

文化的処方は、イギリスで広がるSocial Prescribing(社会的処方)やCreative Health(創造的健康)を参照しつつ、日本の仕組みに合った形で発展しつつあります。社会的処方がソーシャルなつながりを支援する医療側からの支えだとすれば、文化的処方はその人の持つ文化や表現などをサポートし健康に橋をかける新しい取り組みなのです。