アーティストと美術館とコミュニティ

スザンヌ・レイシー《不確実な未来》とマンチェスター市立美術館の取り組み

| [文]ああともTODAY編集部

イギリスのマンチェスター市に所在するマンチェスター市立美術館は、芸術作品の保管・収集・展示といった旧来の美術館の役割のみならず、地域の住民や関係機関を巻き込みながらアーティストと協働するプロジェクトも展開しています。

《不確実な未来》(Uncertain Futures)も、そういったプロジェクトの一つです。50歳以上の女性が直面するインターセクショナルな不平等に焦点を当てるこのプロジェクトは、アメリカの芸術家スザンヌ・レイシーを中心に、地域の様々なコミュニティから参加した50人の女性によるアドバイザリー・グループや、マンチェスター市立美術館とマンチェスター市議会、マンチェスター大学やマンチェスター・メトロポリタン大学等が連携して実施されました。

プロジェクトは芸術表現とリサーチ、そしてアクティビズムとが一体となって展開するものであり、マンチェスターに暮らす当事者自身の生きられた経験を可視化することを通して、ジェンダーや年齢、階級、民族、移民であること、障害の有無といったことが、いかに絡まり合いながら社会における不平等を生み出しているのかを明るみに出しています。

このようなプロジェクトを通して、人々の意識や社会の変革へと働きかけようとしているのです。

下に紹介する動画「スザンヌ・レイシー 《不確実な未来—どんな都市?》( Suzanne Lacy Uncertain Futures – What Kind Of City? )」は、このプロジェクトの中で制作された動画ですが、この動画に、国立アートリサーチセンターが日本語字幕をつけて紹介するものです。オリジナルの動画は、マンチェスター市立美術館の公式YouTubeチャンネルに掲載されています。